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GameSynth version2021.1リリース
2021/05/18

旧型メインフレームの動作音を作ろう

執筆者ニコラス・フールネル氏 Tsugiにより原文英語を和訳しています

今回は、時代を感じるメインフレーム(企業や組織の大型基幹コンピューター)の動作音をGameSynthで作ってみましょう。

時代もののドラマやスパイ映画、昔の戦時映画の秘密基地などでは、下の動画のような音を鳴らす大型演算機が、よくシーンの背景で見られます。



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パッチ上部では4つの音のラインがあり、左からテープの音(ジーキュルキュル)、機械的物理音(カタカタ)、計算機(ピーポー)、発信音(プププ)を演出しています。

テープの音

歴史を遡ると、SSDハードドライブやフロッピーディスク以前には、データは磁気テープに保存されていました。

テープの「ジーキュルキュル」を再現するために、今回はあえてAnimalモジュールを使用しています。Animalモジュールを、2つのPerlin Noise(パーリンノイズ)モジュールを使って絶えず変調することで、振幅とピッチを絶えずランダムに変化させています。

今回はAnimalの音源にBat(コウモリ)を使用していますが、動物の種類を変更することで小さい/速いテープ音(鳥、コウモリなど)から、大きい/遅いテープ音(ライオン、トラなど)まで、さまざまな種類の音を合成することができます。オオカミも非常に面白い結果になるので、ぜひ試してみてくだい。



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機械的物理音

昔のコンピューターは、内部の電気機械式リレーの開閉によって「カタカタ」としたスイッチ音がします。これを実現するため、今回はHail(雹)モジュールを使いました。

奇妙な選択に思えますが、イベント分布が理想的で、非常によく似た騒々しい音色が作れます。

パラメーターでパチパチの粒感を調整し、さらにパッチ下部でフィルタリングされ、他のジェネレーターとミックスされることで、まさにその「カタカタ」音を演出しています。



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計算機

ピーポー」と 電気信号が共鳴しているような音は、Mega Saw(メガソー)モジュールで発しています。

一部のパラメーターをEnvelope(エンベロープ)で変調ループさせることで、周期的な鼓動のような効果を生んでいます。

パッチ開始時に全ての音源がトリガーされて音が大きくなるのを防ぐため、Time Shifter(タイムシフター)モジュールで遅延させています。



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発信音

計算結果やエラー音である「プププ」は、DTMF(電話)モジュールを使って表現しています。Variation値を設けたClock(時計)モジュールによって、ある程度ランダムな頻度で延々と音がトリガーされていきます。

異なる音の成分が徐々に広がるよう、ここでもTime Shifter(タイムシフター)が使われています。



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プロセシング

解説してきた4つのラインはミックスされた後、最終的にCabinet(箱)モジュールに通すことで音がガラスパネルや筐体、またはコンピューター室で鳴っているような、まろやかな「こもり」効果を作っています。

Formant Filter(フォルマントフィルター)も同様に、設定次第で音をソフトにする効果があります。

今回、コンピューターサウンドを作るにも関わらず、意外にもAnimal(動物)、Hail(雹)といった自然系モジュールが役に立ちました。モジュール名にとらわれず、作りたい音に音質的に似ているなら、何でも活用していくのがいいでしょう。

このパッチは「Vintage Mainframe」という名前でGameSynthリポ​​ジトリに追加されています。ツールから直接アクセスして、必要に応じて音を変更していけます。コンピューターアイコンをクリックして、似ている音のパッチを検索することもできます。




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