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2020/12/04

GameSynthで、ガンアクションの効果音を作ろう

竹本晋太郎


ハイエンドの美麗3Dゲームでも、一昔前のドット絵ゲームでも、ゲームアクションに関わる音は、手を抜いてはいけない大事な音である。

たとえばガンアクションゲームでは、銃の音などがそうだろう。

GameSynthには、発砲音の「バン」操作音の「ガチャ、ジャキッ」など、リアルでクリーンな銃の音を作るサウンドモジュールも備わっている。

今回は以下のRPGツクール製ゲームのデモに音をあててみた。作業フローを見ていこう。

たとえばこのような、ドット絵ホラーアクションゲーム
発砲音はあえて「バギューン」という派手な音ではなく、銃の金属感や重みを感じさせるような、耳障りでない「バスッ」という、心地よい渋めの音を目指した。
また、構える際の「バサッ、ジャキッ!」などの音もGameSynthで作り出している。

銃の発砲音

銃の発砲音は、Realistic_Gun(リアルな銃声)というプリセットを見つけて使っている。

下の動画のように、「キーワード"gun"で検索」→「ゲームに合いそうな発砲音プリセットを見つけてロード」→「ちょっとパラメーターを変える」→「wav書き出し」のステップを踏めば、そう難しい知識もいらず、ハイクオリティな発砲音をすぐゲームに実装できるだろう。


ダウンロードしたモジュールを見るとわかるが、火薬の「パーン」以外にも、引き金を引く「カチッ」音、薬莢の「カラカラン…」音も加わっている(それぞれGunShotGun FoleyBullet Casingモジュールに相当)。また、火薬の威力や部屋の反響も、メタパラメータとして用意されている。

さらに、GunShotパラメーターにランダム幅(下図の黄色い帯)がごく微妙に設けられているので、再生するごとに一発一発の音が「微細かつ自然に」変わってくる。

ランダム幅
ゲームでも、今回のwav書き出しした10個の効果音を、ランダムに再生するように組んであるため、銃を乱射しても「音の繰り返し」にならない表現が出来ている。

※一発一発の音があまりに違うと、ポンコツな銃になってしまうので、あくまで「微細な変化」に抑えるのがいいだろう。

銃を構える「バサッ、ジャキッ!」

ついでに銃を構えるモーション用に、服がはためくような「バサッ、ジャキッ!」効果音も作ってみた。

たぶん現実に銃を構えても、「ジャキッ!」という音は出ないのだろうが、ゲームではあえて爽快感のために、こういう「ありえない音を演出する」ことにした。

Whoosh(風切り音)モデルで強めの「バサッ」音を作り、その音をModularモデルのPatch Playerモジュールから読み込んでいる。「ジャキッ」音は、モジュール右端でGun Foley(銃の操作音)ジェネレーターを使っている。

動画後半のように、Time Shifter(音の遅延)モジュールを使えば、ゲームでの「構えON→構えOFF」モーション音を、GameSynthの中でシミュレーションできる。 作った音に違和感がないか、イメージチェックしやすいだろう。

家具の音のリアクション

ゲームで「家具を撃つと壊れる」仕掛けを作りたかったが、それにはさすがに時間がかかる。 だが、銅像を撃ったら「カーン」額縁を撃ったら「ガコン」など、「撃ったら何か音が出る」程度のギミックなら、音さえあれば手軽に作れそうだ。


銅像の「カーン」額縁の「ガコン」(こちらのブログで紹介しているアイディアを使用)を作ってみた。ガラス音はプリセット"46 - Breaking Glass"を使用している。これらはブログ下のDOWNLOADボタンから、まとめてパッチをダウンロードできる。

おわりに

今回のゲームデモは、個人制作のドット絵2Dゲームで、近年のハイエンド仕上がりのゲームにはほど遠い。

だが、「絵がしょぼいから音も妥協していいだろう」とはいかず、むしろこういうゲームほど、音まで手を抜いたら本当にしょぼいゲームで終わってしまうのだ。

逆にいえば、映像技術や開発時間の乏しいインディーゲームでも、音でしっかり演出すれば、アクションのワクワクを生むことができる。ドット絵はプレイヤーに想像する余地を与えるし、「音」がゲームの中で起こっている事を裏付けていくのだ。



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