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2020/12/01

GameSynthで機械・装置のリアルな動作音を演出しよう

竹本晋太郎

ゲームやアニメで、飛空艇やロボットなどオリジナルの機械を出したいことがある。


だが、ゲームのデザインに合う、臨場感あるエンジン音を、ネット上のフリー素材から探すとなるとかなり難しく、しかもゲーム内で操作するとなると、「キュイイーン(上昇)→ゴオンゴオン(一定)→キュオオオ…(下降)」と、回転数をなめらかに変えるような音の加工も必要になるだろう。サンプル素材をこのように加工するのは難しい。


GameSynthには、(別売りのカーエンジンプラグインでなくとも)ビジュアルパッチモデルにて、 エンジンや機械系のハイクオリティな効果音プリセットが用意されている。それらをさくっと流用・加工する流れで、 今回は下の動画のような、エレベーターの「機械の動作音」をゲームに実装してみよう。

筆者が現在製作中の、RPGツクール製ホラーゲーム。GameSynthのプリセットを利用する形で、エレベーターの出力上昇→一定→下降を演出している。さらに「古い不気味なエレベーター」を演出するための、「ギギギ…」「チーン」「ガコン」といった音もGameSynthでこしらえているので見ていこう。

エレベーターの動作音

プリセットやリポジトリを視聴していくと、機械の動作音によさそうな「Ship Engine Failure(船のエンジン失敗)」という、迫力のあるエンジン音プリセットを見つけた。




公式より配布されている大規模モジュールパッチで、かなり難しそうに見える。


だが、「仕組みを理解できなければ使えない」わけではなく、音を書き出して利用する目的であれば、モジュールの設計を必ずしもパーフェクトに理解する必要はない。


以下の動画では、「とりあえずいらない音を出しているモジュールは消そう」 「エンベロープの形や時間を変えて、音のめりはりを変えよう」という発想で、 モジュールの枝を切ったり、カーブを曲げたりしている。



■もっとエレベーターっぽいのろのろした動作音
■音の上り下りを、ゲームのタイミングに合うように
という狙いのもと、「古いエレベーター」っぽい機械音へと編集できた。

こういった音の編集を、音質の劣化なくぱっと行えるのがGameSynthの利点だろう。

アクセサリー音も作成

ついでに、「チーン」「ガコン」など、他の音もGameSynthで作成した。これらはブログ下のDOWNLOADボタンから、パッチ(設計図)をダウンロード可能だ。




ベルの「チーン」: フリー素材のベル音を、Impactモデルの共鳴分析機能にかけて、編集可能でクリーンなサウンドモデルを作成した。

ドア「ガコン!ズーッ」: Clang(金属のぶつかり系ジェネレーター)と、Impactモデル(で作った金属のひきずり音)を合わせて作成した。

金属のきしみ「ギギギ…」: Particlesモデルでよい公式プリセットを見つけたのでそのまま利用した。

おわりに

例えばエレベーターなどの実物系の音は、フリーや有償問わず、ネットで検索すると様々なものが出回っている。

しかし実録系の素材となると、やけに「マイクで録ってきました」感が強く、ビル内の反響音がかかりすぎていたり、いらない話し声が混ざっていたり、 ツクールのようなドット絵ゲームの世界には、音がリアルすぎて馴染まない感もある。

筆者も、ゲームに必要なフォーリー音をたまに自宅で録音することがあるが、録った音をゲームにあてると「なんか音が妙に生々しすぎて合わないな」と感じることがよくあるのだ(高級マイクやレコーディングルームをもつのは難しい)。

GameSynthは、いろいろな効果音を生み出せるのはもちろん、サウンドモデルと計算で音を作り出すため、「変な空間エフェクトが混入しない」「ノイズのないクリーンな音を作り出せる」というのも、実制作で使っていくとわかる魅力のひとつだろう。

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